ホームカミングデーとは、卒業生や教職員OBなどを大学に招いて歓待するイベントです。近年、ホームカミングデーを開催する日本の大学は増えてきていますが、なかなか集客できていないのが現状です。それに比べて、米国のホームカミングデーの規模はとても大きく、文化として人々に深く根付いています。本記事では、弊社で集計した2023年度のホームカミングデーの統計データとその分析結果や、米国におけるホームカミングデーの位置づけを通して、日本の大学に合ったホームカミングデーの在り方について考えてみたいと思います。これからのホームカミングデー運営・コンテンツ作りの参考となれば幸いです。<目次>2022年度、2021年度ホームカミングデーの統計・分析結果はこちら↓2022年度ホームカミングデー統計データを公開!ユニークな企画を実施した大学事例も多数ご紹介2021年度ホームカミングデー統計データを公開!トレンド企画と今後の動向について解説します1. 2023年度ホームカミングデー各種統計2023年度に開催されたホームカミングデーに関するデータを、開催数や企画コンテンツなど、さまざまな切り口から分析していきます。※調査対象:学生数5,000人以上の国公立・私立大学154校1-1. 開催大学数比較新型コロナウイルスの影響で2020~2022年度は開催数が減少していましたが、2023年度はコロナ禍前である2019年度の開催数を上回りました。このような結果から、新型コロナウイルスが収束し、以前よりも大学側がホームカミングデーに力を入れていることがわかります。コロナ禍前の時期と比較して、開催数の増加が注目されています。いくつかの大学では数年に1度の開催が行われるため、コロナの影響で予定されていた開催が2023年度に集中したことが、この増加の理由の一つとして挙げられます。1-2. 開催形式比較2022年度と比べ、ハイブリッド型の開催も少し減少し、オンラインのみでの開催に関してはほとんどなくなりました。反対に、対面型の開催数が伸びており、コロナ禍前のようなホームカミングデーに戻りつつあります。1-3. 企画コンテンツ比較昨年度同様に、2023年度も講演・交流会・キャンパスツアーの数が多いという結果になりました。昨年度と比較すると、コンテンツが上位4つに集中しており、それ以下の企画の数は昨年度の数を下回っております。このことから、全体コンテンツ数が減っており、ホームカミングデーの開催自体が数年ぶりで規模が小さくなっていることが考えられます。2. 米国でのホームカミングデーの位置づけ日本に比べて、米国のほうがホームカミングデーの規模が大きく、人々にとってもポピュラーなものとなっています。具体的な事例とともに、米国でいかに人々の生活にホームカミングデーが根づいているのかを紹介していきます。2-1. ノースカロライナ農業技術州立大学のホームカミングデーがもたらす経済効果ノースカロライナ農業技術州立大学、ホームカミングデーによる経済効果(ノースカロライナ農業技術州立大学)ノースカロライナ農業技術州立大学のホームカミングデーは1週間行われ、毎年40,000から60,000にも及ぶ人々が参加します。2022年度のホームカミングデーについて、大学側の発表によると、このイベントは来場者の支出が4,390万ドルに達し、同大学で開催されたイベントの中で最も多くの人々が訪れるイベントとなりました。また、ホームカミングデーがもたらす経済効果は来場者の支出だけではありません。運営費に研究費、在学生の支出や卒業生のもたらす影響を加えると、ホームカミングデーに関わる経済効果は24億ドルに及び、このうち卒業生のもたらす影響は12億ドルにものぼります。2-2. ホームカミングデーに伴う大学への寄付ホームカミングデーといえば、大学への寄付です。日本でもホームカミングデーを機に寄付を募っている大学は多いですが、米国のほうが規模が大きくなっています。日本でも有名なハーバード大学やスタンフォード大学、コロンビア大学の2018年度の寄付金額は、どれも10億ドルを超えており、日本で最も寄付金の多い京都大学(2022年度時点)の2倍以上です。Alumni Labsで日本の大学寄付金ランキングを紹介した記事がありますので、ぜひご覧ください。【2023年最新】大学寄付金ランキングTOP40!寄付総額が大幅に増加した事例も紹介また、個人による高額寄付の事例も米国では見受けられます。2023年10月23日、アメリカで音楽プロデューサーとして活躍しているショーン・コムズ氏が、母校であるハワード大学のホームカミングデーの開催を機に、100万ドルという多額の寄付をしました。ショーン・コムズ氏、母校へ100万ドルの寄付(EBONY)こういった事例から、ホームカミングデーが人々にとって、より身近なものであると考えられます。2-3. 米国の人々の大学との繋がり上記の2-1、2-2では、ホームカミングデーにおいて、卒業生のもたらす影響が大きいこと、寄付金が非常に多いことの2つを紹介しました。これらのことから、米国の人々は母校に対する愛校心が強いということがわかります。この強さは、大学と人々が様々な面で繋がっていることに由来すると考えられます。米国では、卒業生が「スポーツ」「学問」「大学OBというブランド」などで大学と繋がっており、卒業後も大学と関わりを持っています。最近では日本の大学も卒業生との強い繋がりを持つように努めていますが、まだまだ発展途上です。3. ホームカミングデーの規模が大きい日本の大学紹介最近になって、多くの日本の大学がホームカミングデーに力を入れています。その中でも特に規模が大きい大学の事例をご紹介します。3-1. 慶應義塾大学2023年慶應連合三田会大会の詳細 (三田会)慶應義塾大学の三田会大会の規模は日本でも1,2を争う大きさで、三田会と呼ばれる歴史ある同窓会組織によって運営されています。三田会大会は来場者の数も多く、コンテンツも非常に豊富です。講演会や音楽演奏、謎解きゲームといったエンタメ企画、また、卒業生による早慶戦というスポーツ企画まで開かれています。講演会やトークショー、スポーツ大会など、三田会大会では多くの卒業生が運営側として関わっています。これは他の大学との大きな違いです。3-2. 上智大学卒業生大集合!オールソフィアンの集い(上智大学)上智大学では、毎年5月にホームカミングデー「オールソフィアンの集い(ASF)」が開催されます。実行委員は卒業生・在学生が務める点が特徴の1つであり、長い歴史を持つイベントだといえます。実行委員の方はホームカミングデーのために約半年もの期間をかけて準備しており、その結果、オフラインでの参加者は毎年1万人を超えるようです。これらのことから、上智大学は母校への愛が大きく、卒業生同士の繋がりも強いといえるでしょう。Alumni Labsで上智大学ソフィア会の方々にインタビューした記事がありますので、ぜひご覧ください。他大学に先駆けたイベントを続々実施。ASF運営の実態と組織づくりに迫る(Alumni Labs)3-3. 青山学院大学%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fplugins%2Fpage.php%3Fhref%3Dhttps%253A%252F%252Fwww.facebook.com%252Faogakudososai%26amp%3Btabs%3Dtimeline%26amp%3Bwidth%3D1200%26amp%3Bheight%3D600%26amp%3Bsmall_header%3Dfalse%26amp%3Badapt_container_width%3Dtrue%26amp%3Bhide_cover%3Dtrue%26amp%3Bshow_facepile%3Dfalse%26amp%3BappId%22%20width%3D%221200%22%20height%3D%22600%22%20style%3D%22border%3Anone%3Boverflow%3Ahidden%22%20scrolling%3D%22no%22%20frameborder%3D%220%22%20allowfullscreen%3D%22true%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%3E%3C%2Fiframe%3E青山学院大学の同窓祭は規模が大きいこともさることながら、他の大学とは違った様々な取り組みをしています。1つはSNSを用いた広報活動です。InstagramやX、Facebookを通じて、ホームカミングデーの情報を発信していました。投稿に対するいいねの数から、投稿がよく読まれていることがわかります。もう1つは電子決済の導入です。以前までは紙のチケットを使っていたのですが、感染症対策と利便性向上を狙って、今年度からは「イーゴpay」という独自のアプリ決済を導入しました。こういった取り組みから、青山学院校友会が同窓祭に力を入れている様子がうかがえます。3-4. 東京大学第22回ホームカミングデイのご報告(東京大学)東京大学ホームカミングデイは、在学生や卒業生が運営するプログラムが多く、他の国立大学よりもホームカミングデーの規模が大きいです。2023年度のホームカミングデイでは、出店企画や演奏・音楽企画など、91個のプログラムが実施されました。プログラムの数の多さから、規模の大きさがうかがえます。4. 在学生が主体となってホームカミングデーの運営を行っている大学紹介「3.ホームカミングデーの規模が大きい日本の大学紹介」で紹介された大学に共通していることは、ホームカミングデーの運営に多くの在学生や卒業生が関わっていることでした。ここでは、そういった大学の事例をご紹介します。4-1. 広島大学広島大学 第17回ホームカミングデーについて(広島大学)広島大学のホームカミングデーは企画・運営に多くの在学生や卒業生が関わっており、また創立75周年を記念した周年事業としてさまざまなプログラムを実施しています。代表的なものとして、広島電鉄の市電によるラッピング電車が、広島大学ゆかりの地を走るプロジェクトがあげられます。また、在学生や卒業生が大学での生活を発表する「広島大学地域懇談会」など、地域に密着したプログラムも充実しており、内容の濃いイベントだったといえます。Alumni Labsで校友会学生チームの方々にインタビューした記事がありますので、ぜひご覧ください。校友会学生チームならではの価値と、校友会が学生に与えられる価値とは(Alumni Labs)4-2. 明治大学第26回ホームカミングデーにお越しいただきありがとうございました!!(明治大学)明治大学も、多くの在学生が運営ボランティア、出演者としてホームカミングデーに参加しています。これには、在学生と卒業生の交流を創出する狙いもあるようです。また、明治大学の特徴として、プログラムの豊富さがあげられます。当日は、子供向けの体験企画からシニア向けの講演企画まで幅広く実施され、参加者は過去最高の5,090名を記録しました。運営の規模が大きいことで、当日のプログラムもより豊富に実施できるようになるでしょう。それを踏まえると、在学生による運営は意義が大きいといえます。4-3. 麗澤大学【開催報告】ホームカミングデーを6年ぶりに開催!(麗澤大学)麗澤大学では、6年ぶりにホームカミングデーが開催されました。注目すべき点は、「在学生が1から企画・運営を行った点」でしょう。コロナ禍で失われてしまった繋がりを取り戻すことを目標に、麗大麗澤会学生部3名を含む13名の在学生が初めての企画・運営に挑戦しています。当日は、「プチ卒業式」「麗澤今昔物語」など在学生の柔軟な発想を生かした独自のプログラムも見られました。結果として200名の動員に成功し、急遽プログラムを追加するほど充実したイベントとなったようです。来年度も開催予定であることから、在学生によるホームカミングデーの企画・運営は意義のある取り組みだったと言えるでしょう。5. おわりに2023年度における日本のホームカミングデー統計データに始まり、米国におけるホームカミングデーの在り方、日本でホームカミングデーの規模が大きい大学の事例を紹介してきました。米国では大学と卒業生が、仕事や暮らしなど、文化として深くつながっています。それに伴い、ホームカミングデーの規模も大きく、また多くの卒業生が参加しようと思うのでしょう。日本と米国では、卒業生と大学の繋がり方が根本から大きく異なっています。そのため、米国の事例に倣って、日本でもホームカミングデーを文化として根づかせていきたいものですが、全く同じ方法では上手くいきません。大切なことは、卒業生と大学の間に深い繋がりを築いていくことです。米国の大学の事例から、その繋がりの築き方を学ぶことが重要になります。Alumni Labs (アラムナイラボ) を運営する笑屋株式会社は、日本で1番ホームカミングデーを開催している企業です。・ホームカミングデーのニーズや事例を幅広く抑えたい。・ホームカミングデーの目的やゴールの見直しを検討している。・ホームカミングデーの企画がマンネリ化している。など、お困りのことやホームカミングデーの情報収集は、ぜひ下記の資料もご覧ください。ホームカミングデー独自調査レポート&成功事例4選また、イベント以外にも、卒業生ネットワークの活性化や寄付金集め、校友組織のDXなど、校友領域のことは何でもお気軽にご相談ください。Alumni Labs 相談・問い合わせフォーム