紙代や印刷代の高騰は、大学の卒業生活性化および寄付部署にも影響を与えています。これらの部署がまだアナログ中心の施策を実行している現状を踏まえ、本記事ではデジタル化を推進する必要性と具体的な取り組み方向を提案します。1. 紙代・印刷代の高騰の背景と影響近年、紙代や印刷代の高騰が大学の卒業生活性化および寄付部署にも影響を与えています。原材料価格の上昇や環境規制の強化、さらにはコロナ禍での需要変化が原因となり、以下の記事のように紙ベースの印刷物のコストが高まっています。引用:外部環境の変化(値上げが止まらない)|日本印刷(NPC) (npc-tyo.co.jp)また、この印刷物のコスト上昇は、現在進行形で引き続き起こり続けています。引用:価格改定 | 日本印刷新聞社このような背景から、部署の運営コストが増加し、大学の財政にも影響が出ています。例えば、会報冊子や卒業生への案内チラシなど、印刷物が多く用いられる部署ではその影響が顕著に現れています。また、紙ベースの印刷物を利用し続けることは、環境負荷の問題も抱えています。大量の紙を利用することで、森林破壊や廃棄物の増加、エネルギー消費の拡大などが懸念されています。一部の大学では、環境負荷を軽減するために会報冊子のページ数を減らすなどの対策を取っていますが、それでも十分な効果が得られていない状況です。さらに、アナログな印刷物を中心とした会報誌などは各卒業生へ送るための発送費用が掛かります。この発送費用が上昇傾向にあることや、若い世代の卒業生が、SNSやメールなどデジタルな手段で情報を得ることが一般的であることから、紙ベースの情報発信が効果的でなくなってきています。日本郵便、ゆうパック代引料金など値上げ 10月1日から - Impress Watchこれらの問題を解決するためには、卒業生活性化および寄付部署がデジタル化を進めることが重要です。ここからは、具体的なデジタル化の取り組みについて解説します。2. 卒業生向け会報冊子のデジタル化卒業生向けの会報冊子は、大学の最新情報やイベント案内、卒業生同士の交流の場として重要な役割を果たしています。しかし、紙ベースの会報冊子はコストや環境負荷が問題となっており、デジタル化が求められています。ここでは、会報冊子のデジタル化におけるメリットやデザインの工夫、配信方法について解説します。2-1. オンライン会報のメリットオンライン会報の導入により、印刷代や郵送費用を削減できるだけでなく、環境負荷の軽減にも繋がります。また、デジタル化された会報は更新が容易であり、情報の伝達速度も向上します。さらに、リンクや動画などのマルチメディア要素を取り入れることが可能になり、卒業生への訴求力も強まります。2-2. デザインやコンテンツの工夫デジタル化された会報では、インタラクティブな要素を盛り込むことで、卒業生の関心を引き付けることができます。例えば、卒業生のインタビューや寄稿を動画や音声で配信することで、よりリアルな卒業生の声を伝えることが可能であり、SNSでの流通も見込めます。また、アンケートやクイズなどのエンゲージメント要素を取り入れることで、卒業生の参加意欲を喚起できます。工夫を行っている大学の事例紹介1.デジタルハリウッド大学デジタルハリウッド大学では、ウェブサイトでのお知らせやインタビューのコンテンツにとても力を入れており、紙媒体の記事と差をつけるためサイトならではのデザインなど他大学とは一線を画す取り組みを行っています。https://dhaa.jp/2.東北福祉大学東北福祉大学では「紙媒体からデジタル媒体への完全移行を行う」ことを大々的に宣言することで、アナログ・デジタル双方対応するコストを削減し、効率的な同窓会運営を実現できています。https://www.tfu.ac.jp/alumni/2-3. 配信方法と閲覧環境の整備オンライン会報の配信方法としては、メールでの通知や専用のウェブサイト、アプリケーションを利用することが考えられます。また、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに最適化されたデザインを採用することで、卒業生がいつでもどこでも会報を閲覧しやすくなります。さらに、アクセシビリティに配慮した設計を行うことで、多様な卒業生に情報が届くよう努めるべきです。デジタル化された会報冊子は、印刷・郵送コストを削減するだけでなく、卒業生がいつでもどこでも閲覧可能となり、環境にも配慮した選択肢となります。3. 連絡手段のデジタル化3-1. メールやSNSを活用した情報発信メールやSNSを活用することで、卒業生への情報発信が迅速かつ手軽に行えます。例えば、FacebookやTwitter、LinkedInなどのSNSを活用して、イベント情報や卒業生向けのお知らせを発信することができます。また、メーリングリストやニュースレターを活用して、定期的な情報提供を行うことも効果的です。3-2. 電子署名を活用した書類のやり取り卒業生との契約書や同意書などの書類のやり取りも、電子署名を活用することで効率化が図れます。DocuSignやAdobe Signなどの電子署名サービスを利用すれば、郵送やFAXによる書類のやり取りを減らし、手続きの迅速化が実現できます。また、電子署名を用いた書類は、電子的に保管されるため、管理も容易になります。連絡手段のデジタル化によって、卒業生とのコミュニケーションが効率的かつ迅速に行えるようになり、関係者間の情報共有も円滑になります。4. デジタル化への移行スケジュールとステップ卒業生活性化および寄付専門部署においてデジタル化を進める際には、スムーズな移行を実現するための計画的なスケジュールと段階的なステップが必要です。このセクションでは、デジタル化への移行スケジュールの立案や、ステップごとの具体的な取り組みについて解説します。4-1. 移行スケジュールの立案デジタル化への移行を円滑に進めるためには、まず現状の課題やデジタル化による改善点を明確にし、それに基づいて短期・中期・長期の目標を設定します。また、目標達成のための具体的なアクションプランや担当者を決定し、スケジュールを立案することが重要です。4-2. 段階的なステップデジタル化への移行は、以下のような段階的なステップを踏んで進めることが効果的です。ステップ1: デジタル化の意義と目的の共有まず、関係者全員がデジタル化の意義と目的を理解し、共有することが大切です。これにより、組織全体でのデジタル化への取り組みが促進されます。ステップ2: インフラ整備とデジタルツールの導入次に、デジタル化に必要なインフラ整備やデジタルツールの導入を行います。これには、インターネット環境の改善やオンライン会議ツール、電子署名サービスなどの導入が含まれます。ステップ3: デジタル化の取り組み開始インフラ整備が完了したら、具体的なデジタル化の取り組みを開始します。これには、会報冊子のデジタル化、連絡手段のデジタル化、寄付のデジタル化などが含まれます。ステップ4: 評価と改善デジタル化の取り組みが進行する中で、定期的に評価を行い、必要に応じて改善を加えることが大切です。また、デジタル化の効果を定量的・定性的に分析し、結果を関係者に報告することで、デジタル化の取り組みが透明性を持ち、組織全体でのデジタル化の取り組みが促進されます。デジタル化への移行を計画的に進めることで、組織全体でのデジタル化の取り組みが促進され、卒業生活性化および寄付専門部署の業務効率が向上します。5. デジタル化に伴うリスクと対策デジタル化が進む中で、データ保護やプライバシー、セキュリティの問題が重要となります。また、デジタル化に伴うリスクや課題に対処するためには、適切な対策が求められます。このセクションでは、デジタル化に伴うリスクとそれに対する対策について説明します。5-1. データ保護とプライバシーデジタル化によって、卒業生の個人情報や寄付履歴などのデータが電子化されます。これにより、データ漏洩やプライバシー侵害のリスクが高まります。対策として、データ保護法規制に従い、個人情報の管理や取扱いを適切に行うことが重要です。また、プライバシーポリシーやデータ保護方針を明確にし、関係者に周知徹底することが求められます。5-2. セキュリティ対策オンラインでの情報交換が増えることで、サイバーセキュリティのリスクも高まります。ウイルスやマルウェア、フィッシング攻撃などから卒業生のデータを守るために、セキュリティ対策が不可欠です。対策として、ファイアウォールやアンチウイルスソフトウェアの導入、定期的なセキュリティアップデート、パスワードポリシーの策定などが考えられます。5-3. デジタルデバイドへの対応デジタル化に伴う職員間または卒業生との情報格差リスクに対処することで、卒業生活性化および寄付専門部署が安全かつ円滑にデジタル環境での活動を展開することができます。6. まとめ本記事では、紙代・印刷代が高騰している状況を踏まえ、大学の卒業生活性化および寄付専門部署におけるデジタル化の必要性とその実践方法について解説しました。デジタル化により、コスト削減だけでなく、効率的なコミュニケーションや寄付活動の促進が期待できます。しかし、デジタル化に伴うリスクも存在するため、適切な対策が必要です。Alumni Labs (アラムナイラボ) を運営する笑屋株式会社は、校友領域の課題解決を専門で行う企業です。今回紹介したDXはもちろん、卒業生ネットワークの活性化や寄付金集め、イベント企画・運営など、校友領域のことは何でもお気軽にご相談ください。Alumni Labs 相談・問い合わせフォーム