大学を取り巻く経営環境も年々厳しさを増す中、「ホームカミングデーや校友会の担当になっても具体的にどうしたらいいのか分からない」などの悩みや課題を抱えている大学職員の方もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらの記事では、アンケート調査から得た大学のホームカミングデーに関するデータなどをまとめ、少しでもこれからの大学運営にお役立ていただけるような情報をご紹介します。関連記事:2021年度ホームカミングデー統計データを公開!トレンド企画と今後の動向について解説します<目次>1.校友会の職員が抱える「悩みと課題」大学職員の方からお話をうかがう中で、特に多く寄せられた悩みや課題が2種類ありました。それはイベントに関する悩みと、卒業生との繋がりの悩みの2つです。どの大学にとっても共通の課題となる、それぞれの悩みについての詳しい事例をご紹介していきます。 1. イベントに関する悩みホームカミングデーなど、イベントに関する悩みには以下のような事例がありました。●イベントの参加者が少ない●イベントの実施経験がなく、運営ノウハウがない●イベントや会報誌制作にかけられる予算が少ない●イベントを開催する時間と人手が足りない各大学の状況によって解決すべき問題は違えど、イベントには何らかの悩みや問題を抱えていました。 2. 卒業生との繋がりの悩み卒業生との繋がりに関する悩みには、以下のような事例がありました。●寄付金が集まらない●卒業生との関係が途絶えている●20~30代の若い卒業生が校友会組織を認知していない●卒業生主体の校友会組織と学校組織の連携不足●卒業生との主な連絡手段が郵送のため膨大な費用がかかる繋がりの希薄化についての悩みから、費用面や組織運営に関するものなど、卒業生との繋がり強化にはさまざまな角度から問題に取り組んでいく必要があります。また、「卒業生との繋がりの希薄化によって、ホームカミングデーなどのイベントにも影響が出ている」との悩みを抱えていらっしゃる方も多く見受けられました。大きな2つの悩み・課題は連動しており、イベント面と繋がり構築面の課題を両輪で解決していければ、より効果的かもしれません。 2.他大学に聞いた! ホームカミングデーについてのアンケート調査結果先ほど紹介したものを含め、少しでも校友会職員の方の課題や悩みを解決するために、卒業生向けイベントの代表格であるホームカミングデーに関する他大学の情報を5つのテーマに分けて紹介します!私立大学48校、国立大学9校、公立大学3校の計60大学の担当者さまに、「どんな企画内容で開催しているか」「予算はいくらかけているか」など各大学のホームカミングデーについて調査しました。少しでもホームカミングデー開催に向けたアイデアのヒントになれば幸いです。 1. 開催時期ホームカミングデーの開催時期の調査結果です。半数以上の大学が11月に開催しており、次いで多いのが10月という結果でした。11月や10月は学園祭シーズン。そのため、学園祭の最終日や午後などにホームカミングデーを行う大学が多いようです。台風も落ち着くこの季節は、天気も安定する傾向にあり開催しやすいのではないでしょうか。ただ、中には「会場や予算の関係で学園祭と同日の開催が難しく、別月で開催している」という大学もありました。2. 平均予算ホームカミングデーを開催するにあたっての予算についての調査です。最も多かった回答は100~200万円で、全体の3割ほどでした。8割以上の大学が、多くても500万円までの予算で運営しているという結果になりました。その他回答のなかった大学については、「校友会予算を使っているため把握していない」「予算は不明」などの回答がありました。「そもそもホームカミングデーに割ける予算が少ない」という声も多く、いかにお金をかけずに集客できるかに課題を感じている職員の方が多いようです。 3. 告知方法ホームカミングデーの告知方法についての調査です。「案内はがき」と「会報誌」が半数以上を占め、学校や校友会のHP上で掲載するなどの「Webサイト」での告知が3位となりました。意外と少なかったSNSは近年その有効性を見せており、20代~30代の若い卒業生にはTwitterやInstagram、40代~50代にはFacebookなど、SNSごとにターゲットを決めて利用する方法も効果的かもしれません。関連記事:YouTube・Facebookで合計15,000再生獲得! ホームカミングデー集客戦略成功の施策また、年配の方には案内はがきを郵送し、若者にはSNSで発信する大学や、会報誌掲載とWebサイト発信を組み合わせるなど、1つのやり方だけでなく複数の告知方法を組み合わせている大学が多く見受けられました。ただ、郵送は経費がかかるとの課題を抱えている大学もあります。その他では、新聞広告や先生からの口コミといった回答がありました。 4. アプローチしたい年齢層今後、積極的にアプローチして取り込んでいきたいターゲット層についての調査です。ホームカミングデーの参加者は年配の方が多いため、「もっと若い卒業生を取り込みたい!」と考える大学が6割以上という結果でした。関連記事:若い卒業生を取り込むことに成功! 東洋大学ホームカミングデーの新たな試み若者に興味を持ってもらい参加してもらうことで、大学の活性化や寄付金にも繋げていけることを狙っても、「若者は仕事が忙しく集まりにくい」などの課題もあるようです。その他の意見では、「特にターゲットは定めず幅広い年齢層に来てほしい」「子ども連れの親世代に来てほしい」といった”若者”よりもさらに具体的な意見もありました。 5. 企画内容ホームカミングデーの企画内容についての調査です。ホームカミングデーというだけあり、最も多かったのは「同窓会・懇親会」でした。軽食や飲み物を用意し、卒業生同士、教員と卒業生、在学生と卒業生が交流するなどさまざまなパターンがあるようです。「食堂を貸し切り、無料開放で行っている」という意見もありました。次に多かった「講演会・トークショー」では、教授や校友会員、また部活動の監督やアスリートなどの講演など、大学独自の企画を実施しているところが多くありました。関連記事:卒業生・在学生や学長までも巻き込んだオンラインホームカミングデーそのほか、卒業生による模擬店・露店の出店や、在学生によるサークルや部活動のパフォーマンス、近年では在学生向けの就職相談会なども好評のようです。いずれも現役生と卒業生の交流ができる企画であり、より母校に対する興味関心が得られるような内容となっています。3.調査結果から見えたホームカミングデー成功までのポイント先ほどの調査結果を踏まえ、弊社が分析したホームカミングデーの成功に重要なポイントが4つあります。それは…ホームカミングデーの告知は戦略的に学校“らしさ”を出す卒業生・在学生・教員同士の交流の場を設ける幅広い年齢層への配慮というものです。それぞれのポイントについて、これから詳しく解説していきます。 1. ホームカミングデーの告知は戦略的に前章の告知方法の調査結果で、主に①案内はがき、②会報誌、③Webサイト、④SNSが利用されていることをお伝えしました。それらを漠然と使うだけでなく、どう戦略的に活用していくかが集客UPに繋がります。案内はがき郵送する際は、どんな年齢層からどのくらい返信があるか確認できるようにして、はがきの効果を検証することが重要です。そこから分析してコスト削減の可能性を探っていきましょう。また、読了率を測るため、はがきにQRコードを設置するのも効果的です。会報誌日時や企画内容を掲載するだけでなく、昨年の様子や開催までの舞台裏・苦労話、今年の実行委員のメンバーにスポットを当てた、卒業生が親近感や懐かしさを持ってもらえるような特集記事などを組むと、興味関心を惹きやすく、より集客に繋がりやすいです。Webサイト、SNS告知の戦略については、最後にご紹介している資料の中で詳しく解説していますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。 2. 大学“らしさ”を出すホームカミングデーで大学独自の”らしさ”や良さをアピールし知ってもらうことで、「この大学の卒業生でよかった」「自分の子どもや知り合いにもぜひこの学校を進めたい」という愛校心を育むことができます。企画内容の調査結果にもあるように、有名なOB・OGの方の講演会、大学の専門分野や学科を活かした露店やイベント、地域性を活かし周辺の方を巻き込めるコンテンツなど、その学校らしい企画が有益です。 3. 卒業生・在学生・教員同士の交流の場を設けるホームカミングデーは、その学校のことをよく知っている人が集まる絶好の機会です。来場者である卒業生と、在学生や教員との交流の場を積極的に設けることで、全員に有益な場であることをアピールしていく必要があります。例えば、卒業生と在学生の交流から、就活や学校生活のアドバイスをもらうことができます。卒業生と教員の交流からは、日頃の悩みや大学の勉強がどう活かせているかといったこともうかがえます。そして、卒業生同士の交流ではビジネスチャンスが生まれることもあるでしょう。こうした場を通して、大学や卒業生のネットワークを最大限に活用していくことが大切です。 4. 幅広い年齢層への配慮ホームカミングデーや学園祭では、卒業生はもちろん、在学生や教員の家族、地域の方、入学希望の高校生など幅広い年齢層の方が訪れます。むしろ、そういった方々に訪れてもらえるような配慮や工夫が必要になってきます。ある大学でも、「小さいお子さんを連れた方の来場率が低い」と課題を感じている例があり頭を悩ませていました。大学は教育機関ですが、同時に研究機関でもあります。そういったことを活かし、例えば夏休みの自由研究のような科学コンテンツや、体育会系の学生によるスポーツ体験など、お子様でも楽しめるキッズスペースを設けてみてはいかがでしょうか。また、年配の方でも座って楽しめる優先スペースの設置なども効果的です。細かいことかもしれませんが、こうした少しの配慮が大学への印象を高め、今後の入学率や寄付金獲得率にも関係してくるでしょう。 4.おわりに大学が抱えている大きな悩み2点と、それに関するさまざまな情報をご紹介させていただきました。お伝えした情報が課題解決の一助になれば幸いです。また、こちらの記事ではお伝えしていない大学運営に役立つ情報をまとめた資料もご用意しています。大学のホームカミングデー調査のほかにも、先ほど紹介しなかったものも含めたホームカミングデー成功のポイント4つや、一般500人を対象とした「同窓会に関する意識調査アンケート」をもとにした大学同窓会の在り方・開催のヒント、中長期的な大学運営に重要な力のある大学コミュニティの作り方についても解説しています。ご興味のある方は資料をダウンロードの上、ぜひご覧ください!大学職員が抱える「悩みと課題」大学同窓会のゴール、校友組織が目指すこと他大学を知ることが成功の第一歩! 60大学に聞いたホームカミングデーアンケート調査結果から見えた、成功までの4つのポイント力のあるコミュニティを作るには?