コロナ禍において、働き方や教育などさまざまな活動が ”ニューノーマル” になっています。その中で、学生の就職活動においても、大きな変化が起こっています。そこで今回は、就職活動におけるコロナ禍での変化に焦点を当て、 ”ニューノーマル” な就職活動について深掘りしていきます。さらに、就職活動が変化する中で見えた「大学キャリアセンターが抱える課題」をご紹介し、就活生に求められている新しい就活支援サービスのあり方をご紹介します。<目次>1. コロナ禍で、就活生の行動が変化したコロナ禍において、学生の就職活動に大きな変化が起こりました。また、それに伴って就活生が抱える悩みや、求める就活支援サービスの内容も変化してきています。ここでは、就活生の行動の変化に焦点を当て、新しく求められるようになった就活支援サービスの形を探っていきます。1-1. 学生が、より早期から就職活動を始めるように近年、学生は早期から就職活動を始めるようになっています。引用:Wantedly 「22卒 ~ 24卒の就職活動に関する調査」「友人はもう内定を持っている」「コロナで思うように活動できず、ガクチカがない」といった焦りや危機感から、就職活動を始める時期が早まっているようです。1-2. 説明会や選考を受ける企業数も増加オンラインが主流の就職活動において、就活生が応募する企業数は増加しています。引用:キャリタス就活2021これは、大きく2つの理由が考えられます。1つ目は学生の就活に対する危機感が大きくなったことです。コロナ禍において「良い企業に就職できるのか」といった焦りから、多くの企業に応募する就活生が多くなっているようです。また、2つ目はオンラインの発達です。コロナ禍において、オンラインで採用活動を行う企業が増加しました。お金や時間がかからないことから、オンラインで採用を行う企業に、試しに応募してみる学生も増えているようです。1-3. 「企業選び」で悩む就活生が増加先ほど「説明会や選考を受ける企業数が増加した」と説明しましたが、これはメリットばかりではありません。手軽に企業を知ることができるようになった分、「企業選びで迷う学生」が増加しているのです。これはアフターコロナで深刻になりつつある課題であり、どのように企業選びをしていけばよいか、サポートを求める就活生も多くなっているといえるでしょう。1-4. 就活が激化し、選考対策サービスを求めるように先ほど「企業への応募数の増加」について説明しましたが、これによって就職活動の難易度が上がっているといえるでしょう。学生が多くの企業に応募するようになった分、企業毎の倍率も高くなっています。決まった内定枠を、より多くの学生で取り合うようになっているのです。このような状況で、選考対策に関する相談が増加しています。引用:DISCO 「就職・キャリア支援活動に関する調査」このように就活が激化している状況で、これまでより多くの就活生が、面接やESなど「選考対策のサポートをして欲しい」と感じているようです。2. 企業の採用活動の形が変化したコロナ禍における学生ニーズの変化に合わせ、就職活動の形も大きく変化しています。ここでは、どのような変化が起こったのか、分析していきます。2-1. 企業説明会は、オンラインが主流にコロナ前は、企業説明会も対面で実施していましたが、アフターコロナでは、企業説明会はZoomなどのツールを用いてオンラインで実施するのが主流になってきています。オンラインと対面のハイブリッドで実施する企業も見られますが、基本的にはオンラインを活用した企業説明会が”ニューノーマル”となってきています。2-2. 面接も全てオンラインを採用する企業も説明会のみならず、選考でもオンラインを採用する企業が大半を占めるようになってきています。引用:人事ZINE「新卒採用市場の動向」実際に、2022年卒採用活動において面接を全てオンラインで実施する割合は約18%であり、約9割という大半の企業が、採用プロセスの一部においてオンラインを活用している事が分かります。2-3. 企業側も新卒採用活動が早期化した「就職活動の早期化」も、大きな変化の一つです。コロナ禍において、早期から就職活動を始める学生が増加しました。それに合わせて企業も、早期から採用活動に取り組むようになってきています。早期から新卒採用に積極的に動き、優秀な学生と接点を持とうとする流れは進んでおり、アフターコロナにおいても「採用活動の早期化」はトレンドとなっていくでしょう。引用:人事ZINE「新卒採用市場の動向」実際に、2024年卒の採用活動では、多くの企業が学生への接触時期を早めるようです。3. 就活が変化する中で見えた、キャリアセンターの課題とは?ここまで、近年の就職活動の変化を説明してきました。その中で、「就活生のキャリアセンター離れ」が大きな課題となってきています。引用:neo career「23年卒就活意識調査」実際に、学生のほとんどは求人紹介サイトや新卒紹介エージェントを利用している一方で、キャリアセンターの利用は約30%に留まっています。ここでは、現在進んでいる「キャリアセンター離れ」の原因について考えていきます。3-1. 就活に詳しい職員がいない1つ目の課題として、「就活に詳しい職員が不足していること」が挙げられます。大学キャリアセンターでは、就活サポートに専業で取り組む職員が少なく、大学によってはいない場合もあります。その結果、就職活動の変化を捉えきれず、最適な就活サポートを提供できなくなっているといえます。3-2. 学生の就活状況を把握できない2つ目の課題は「学生の就活状況を把握できない」ことです。大学キャリアセンターの多くはこの問題に悩まされています。引用:DISCO 「就職・キャリア支援活動に関する調査」これは、コロナ禍で大きく悪化した部分です。イベントの回数やイベントへの参加学生数を減らしたことが原因で、就活生の動向を十分にキャッチアップできていないといえます。これからキャリアセンターは、どのようにして就活生との接点を作り、双方向のコミュニケーションを取っていくのか、考えていく必要があるでしょう。3-3. オンラインでの就活サービスに対応できない現在の学生は、授業や課外活動がオンラインに変化し、大学に来る頻度が減っており、それと同時に、キャリアセンターに訪れる頻度も減っていることが言えます。また、就活支援エージェントなど他サービスでは、スマホやパソコンでさまざまな支援を受けることができるため、就活で大学に来る必要性がなくなってきているのが現状です。そのため、キャリアセンターは、オンラインに対応した就活支援を強化する必要があるでしょう。または、アフターコロナで対面に戻りつつある状況の中で、”対面” で就活支援を行う意義を考え直し、学生に対して訴求することが重要かもしれません。4. 就活支援サービスの事例紹介ここでは、大学のキャリアセンターが提供する、注目すべき就活支援サービスをご紹介します。4-1. 明治大学明治大「手厚すぎる就活支援」明治大学は、就職に強い大学として有名ですが、その裏には、キャリアセンターによる手厚い支援があります。キャリアセンターの取り組みは主に2つあります。1つ目は、「職員自ら対応する就活生支援」です。キャリアセンターでは毎年、大規模でガイダンス等のイベントを開催しています。明治大学の優れた点は、単発で終わらず、その後も徹底的にサポートする点です。実際に、エントリーシートの対策は希望者全員に行い、キャリアカウンセリングにおいても、総勢31人の職員を動員し、手厚く実施しています。2つ目は、「OB・OGとの繋がりの創出」です。キャリアセンターの支援を経て内定を獲得した学生は「活動報告書」を記入し、活動報告書では、就活のスケジュールや面接の詳細などが全て手書きで書かれ、年間2,000人から集めています。このように、キャリアセンターを通して、就活支援と後輩への引き継ぎが絶えず行われていることが、強さの秘訣であるといえます。4-2. 金城学院大学金城学院大学「就活サポーター」金城学院大学は、就職に強い大学として有名であり、2020年は、就職率98.8%という実績を残しています。そんな金城学院大学には、注目すべき取り組みが2つあります。1つ目は「キャリア開発教育」です。金城学院大学では、1年次からキャリアについて考える講義があり、基礎的なものから、実際の企業の方が講義するものまで、幅広く実施しています。4年間を通したキャリア支援によって、学生一人一人にあった進路選択をサポートします。2つ目は、「就活サポーター制度」です。これは、就職活動を終えた4年生が講師を務め、オンラインで就活サポートを実施する制度です。エントリーシートの書き方や面接対策だけでなく、スーツの選び方や就活メイクなどまで聞くことができる人気の制度です。4-3. 学習院大学学習院大学「メンタイ」学習院大学の面接対策セミナー「メンタイ」は、大学独自のプログラムとして30年以上続く名物セミナーです。参加人数は、コロナ前で1,000人超、アフターコロナでも600人超が参加する大規模な企画で、200人以上の社会人、約50人の内定後学生が講師となり、後輩たちを指導します。プログラム中は、自己分析、グループディスカッション、集団面接、模擬面接など実践的なプログラムが行われます。メンタイは、卒業生、教職員、サポーターが一体となって就活生をサポートする学習院大学の就職支援の大きな特徴となっており、同大学の「絆」を象徴するイベントとして30年以上も継続しています。このように、4年生の内定者だけでなく、社会人として活躍するOB・OGも巻き込んで大規模なイベントを実施できるのは、学習院大学の強みだと言えるでしょう。5. 今後の就活支援サービスはこうあるべきここまでの分析を踏まえて、これからキャリアセンターが提供する就活支援において、重要なポイントを説明していきます。5-1. 実践的なサポートの強化これからは、産学連携による人材育成目標にも示されている通り、企業のインターンシップなど実践的な教育が重要視されるでしょう。引用:産学協議会 2021年度報告書この傾向を踏まえると、キャリアセンターにおいても、従来の説明会やセミナーだけでなく、「インターンシップでの振る舞い方」「面接対策」など、より実践的なキャリア支援サポートが求められるといえます。5-2. 学生との密な接点作り就職支援において成功している大学に共通していえるのは、「学生と密に繋がりを持っている」ということです。学生と密に繋がることで、内定まで確実にサポートすることができます。また、学生とのコネクションを築くことで、内定後に後輩をサポートする循環を生み出し、年々変化していく就職活動に対応できるようになるでしょう。5-3. 外部講師や卒業生の活用学生との接点だけでなく、外部講師や卒業生とも接点を持ち、活用していくことが重要です。実際に、米国の大学450校で導入されているPeopleGroveは、卒業生ネットワークを使ったキャリア教育・支援サービスで大きな実績を残しています。76%の学生が、PeopleGroveに参加したことで就職活動で成功する自信がついたと回答しており、57%の卒業生が、PeopleGroveのおかげで母校に恩返しする可能性が高まったと回答しています。引用:PeopleGroveこのように、外部講師や卒業生をうまく活用することは、就活支援、卒業生ネットワークの構築の両方に良い影響があるといえます。6 まとめアフターコロナでの ”ニューノーマル” な就職活動について深掘りながら、キャリアセンターが提供すべき就活支援についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。キャリアセンターは大学OB・OGと在学生の情報を最も多く持っている組織であるからこそ、どのようにネットワークを構築し、活用していくかが重要だといえるでしょう。アラムナイラボでは、卒業生ネットワークを活かしたキャリア支援プラットフォームを通して、全国の大学様をご支援しています。ご興味がある方は、下記までご相談ください。Alumni labs キャリア支援プラットフォームのご案内