大学で実施されている広報は大学内にある広報課が行うことが多いですが、在学生が主体となった「学生広報チーム」「学生校友会チーム」が広報をしたりメディアを運営したりするケースも増えてきました。今回は学生広報チームの事例を紹介しながら、活動発足によって大学側が得られるメリットについて紹介します。「学生の広報チームを作ってみたい」「若年層に向けた広報施策にもっと力を入れたい」とお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。<目次>1. 学生広報チームの役割学生広報チームは、広報課の代わりに大学の魅力を発信することが役割です。オープンキャンパスや広報誌だけではなく、今の学生の目に留まりやすい宣伝媒体など、流行をつかんだ広報活動を行います。SNSや動画を使ったアプローチなど、学生ならではの視点を取り入れながら、大学の活動状況を学内外へ広められるのが、学生広報チームの特徴であり、強みといえるでしょう。2. 学生広報チームの組成についてここからは学生広報チームがどのように形成され、どのような理由で大学の広報活動に参加しているのかをご説明します。2-1. 学生が広報チームに入るきっかけと募集方法学生が広報チームに入ろうとするきっかけはさまざまですが、主に3つあると考えられます。1つ目はサークルからの勧誘です。大半の学生は入学後にサークル活動を始めようと考えますが、その選定中にボランティアサークルから勧誘を受けて参加するケースです。募集なども大学側ではなく学生主導で行われ、一般的なサークルに入るのと同様に参加し広報活動を行っていきます。2つ目は、大学からの勧誘で学生自ら応募するケースです。学生広報チームを運営する大学では専用のWebページを設置しているところも多く、大学側からのアプローチに興味を持った学生が、Web上の応募フォームから広報チームに参加するケースもあるでしょう。3つ目は、入学前に学生広報チームの活動に触れて興味を持った場合です。オープンキャンパスなどのイベントでその魅力を感じ、自発的に参加することも考えられます。2-2. 活動へのモチベーション広報チームで活動する学生はどのようなモチベーションで取り組んでいるのでしょうか。1つは、学校の魅力を純粋に伝えたいという愛校心です。やはり自分が「良い」と感じているものは他人にも伝えたくなるものです。そのため在籍している大学が好きという人にとっては、「大学の魅力を多くの人方に伝えたい」という想いそのものことがモチベーションの1つとなるのでしょう。また、広報活動を通じてスキルを身につけたい学生もいます。広報活動の中には動画の編集やSNSの運用が含まれ、マーケティングなどのスキルを学ぶ機会にもなります。こうした経験を就職時の面接 (ガクチカなど) にも役立てたいというモチベーションで取り組む学生もいるでしょう。2-3. 基本的にはボランティア広報チームの活動は基本的にボランティアです。案件によっては報酬が発生することもあるようですが、多くの場合は無償で広報活動を行うケースが多いでしょう。ただし、取材や出張をした場合の旅費が支払われるケースもあります。3. 各大学の活動事例のご紹介ここからは学生広報チームの活動の事例をご紹介していきます。3-1. 群馬大学群馬大学の学生広報チームのメンバーは、基本的には広報をお手伝いする学生スタッフのような立ち位置で活動しています。広報チームのメンバーは「大学広報大使」という名称で活動しているのが特徴で、大学学生広報大使の専門サイトも立ち上げられており、そのサイト内、またTwitterやInstagramにくわえTikTokも利用しながら学生目線の情報を発信しています。在学生広報チーム「学生広報大使」について | 国立大学法人群馬大学 (gunma-u.ac.jp)3-2. 熊本大学熊本大学では14名で構成されるボランティア広報グループ(2022年5月時点)が活動しています。主にYouTubeでの企画動画やTwitter、Instagramなどを駆使した若者ならではの広報活動を行っており、特に公式YouTubeではほとんどの動画が1000回再生を超えているのが特徴です。キャンパスツアーの動画に関しては1.9万回再生されているうえ、在学生向けの履修ガイドなどもあり、学内外に魅力あるコンテンツを配信できていることが伺えます。学生による広報活動 | 熊本大学 (kumamoto-u.ac.jp)3-3. 滋賀大学滋賀大学の学生広報チームは、11名のボランティアで構成されています(2022年5月時点)。学内外の行事の取材、広報誌の取材・記事制作、大学オリジナルグッズの制作、滋賀大学公式キャラクターの活用など、広報課が行っている業務を学生が代行する形で活動しているのが特徴です。最終的なアウトプットを学生に委ねることで、学生目線の効果的な訴求ができているといえるでしょう。学生広報サポートチーム – 滋賀大学 (shiga-u.ac.jp)3-4. 東京農工大学東京農工大学の学生広報チームは、公式SNS・公式ウェブサイトに掲載する写真の撮影や掲載する記事の執筆、社会で活躍している卒業生への取材・記事制作、大学のオリジナルグッズの制作などを行っています。また、150周年記念事業という大規模イベントの広報企画も担当しており、大学の裁量の大きさが伺えます。基本的にはボランティア活動として活動していますが、取材等の活動内容によって謝金などが発生するケースがあることも東京農工大学広報チームの特徴の一つでしょう。学生広報スタッフ | 広報・社会連携 | 大学案内 | 国立大学法人 東京農工大学 (tuat.ac.jp)3-5. 成蹊大学成蹊大学の学生広報チームは学長直下で活動しており、Webサイトの運営のほか、広報誌の制作や大学公式TwitterやInstagramなどの運営を行っています。また、ブログ記事も充実しており、学べる内容からキャンパスライフ、留学、キャリアに至るまで多くのコンテンツが掲載されているのも特徴です。Seikei Realife by 成蹊大学 学生広報委員会3-6. 杏林大学杏林大学では、全53人で構成される「MITAI×INOKASIRA」という学生広報チーム・サークル(2022年4月時点)が活動しています。夜にオープンキャンパスを実施するなど、学生ならではの発想力で企画運営を行っているのが特徴です。ナイトオープンキャンパスは部活をしている高校生向けに企画され、224名の来場者を記録(コロナ前)し、YouTubeに投稿されているキャンパス紹介動画も1万回再生を記録しています。年に一度副理事長に向けたプレゼン大会を行っており、大学側へ直接提案できる機会もあるため、企画力を醸成する仕組みづくりも構築されているといえるでしょう。ミタイノカシラとは | 杏林大学 学生広報スタッフ MITAI×INOKASHIRA (cfbx.jp)3-7. 京都女子大学京都女子大学の学生広報チーム「京女パレット」の活動は、学内誌の制作、公式TwitterやInstagramの運営、高校生向けのWebコンテンツ「京女らいふ」、卒業生の紹介をする「womanproject」の企画・制作など多岐に渡っています。とくに記事制作ではWeb制作企業とミーティングを行いながら進められているため、Webサイトのクオリティが非常に高いのも特徴です。企業や卒業生と制作活動に取り組むこともあるため、専門的なスキルを育む場所としても活用されています。daily life 京女らいふ (kyoto-wu.ac.jp)3-8. 東京薬科大学東京薬科大学では、全19人で活動している学生広報チーム「C‐Lab」が企画班・記事班・動画班の3つに分かれて活動を行っています。企画班ではオープンキャンパスでのバスガイドや大学公式キャラクターのグッズ制作を行い、記事班はポスターの作成から大学の発行する雑誌、ホームページでの記事制作が主な活動内容です。また、動画班ではPR動画の作成を行い、スキル向上のため動画コンテストなどにも参加しています。大学オリジナルキャラクターの制作も行っており、まさに一からより良い広報を行うために動いているチームといえるでしょう。また、大学直轄の組織であることからプロの業者が使用するPCソフトを用いて広報活動に取り組んでおり、高いレベルの環境で動画制作などの知識を身に着けられるのも特徴の1つです。C-Lab紹介|C-Lab 学生広報サイト|東京薬科大学 (toyaku.ac.jp)4. 大学内での学生広報活動のメリットここからは大学内での学生広報活動のメリットについて、学生側・、大学側の両方の視点から説明します。4-1. 学生側のメリット学生側のメリットとしては、記事制作や動画編集、またSNS運用を通じたマーケティングなどのスキルが身につく点が挙げられます。大学側からこうした業務にチャレンジできる環境を用意してもらえるため、個人で学習するよりも実践的な場でスキルを身につけることができるでしょう。また、オープンキャンパスなどの各種イベントの場で、人前に立ち大学の魅力を話す機会があるため、発信力やプレゼンテーションスキルも身につきます。さらに、活動を通じて人前で話したり記事を作ったりするため、自身の通っている大学についての魅力や歴史なども人一倍詳しくなるメリットもあるでしょう。4-2. 大学側のメリット大学側のメリットでもある高校生に対して目線を合わせた広報活動を広報課の代わりに行ってくれる点です。年代も近く流行を捉え、SNSを駆使した情報発信ができるため、より効果的なアプローチが可能となります。また、企業に依頼するよりも低コストで広報活動ができる点もメリットです。広報誌やポスター制作などを学生広報チームに委託することで、一般にかかる諸経費の発生しない広報活動が可能となります。広報活動などを、在学生とともに取り組むことで、学生と緊密な関係で運営していく組織作りもメリットに挙げられます。大学運営において、将来の校友のための愛校心の醸成は重要です。学生時代から広報活動を通じて、大学に対する愛着を形成させることもできるでしょう。5. まとめ学生広報チームの活動によって、学生ならではのコンテンツが生まれ、成果を出している大学もたくさんあります。大学側からの一方的な発信ではなく、学生からの目線を取り入れることで、等身大の学生生活が想起され、受験生などのメインターゲットに親しみやすい広報が可能となるのです。学生広報チーム作りを検討中の方は、他大学の事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。Alumni Labs (アラムナイラボ) を運営する笑屋株式会社は、校友領域の課題解決を専門で行う企業です。広報活動やマーケティング支援の他、卒業生ネットワークの活性化や寄付金集め、イベント企画・運営など、何でもお気軽にご相談ください。Alumni Labs 相談・問い合わせフォーム